本当にBリーグにホームコートアドバンテージは存在するのか？――観客数の多い「チーム」に注目して
先日、観客数が多いときに限って、得点にホームコートアドバンテージが存在するという記事を書いた。
しかし、観客数が多いチームは強いチームばかりなので、相手チームに勝つ可能性が高く、ホームチームとアウェイチームで得点に差が見られたという別の可能性がある。この記事では、この可能性について検討する。
分析の方針
まず観客数の分布と平均値・標準偏差（SD）を確認する。そして、観客数が多い（=平均値+1SD）試合を各チームが何試合行っていたかをカウントする。最後に、観客数が多い試合を行っていたチームの勝率を確認する。もし「観客数が多いチーム＝強いチーム」だとすれば、観客数の多い試合を行っていたチームの勝率は高いと考えられる。
データセット
bleaguer*1のb.gamesとb.games.summaryを結合してデータセットとした。B1のレギュラーシーズンに限って分析を行った。また、ホームチームかアウェイチームかの情報が取れなかった試合を分析から除いた。結果として、1834試合が分析対象となった。
分析
観客数の分布と平均値・標準偏差
観客数のヒストグラムを図1に示す。ヒストグラムとは、縦軸に試合数、横軸に観客数をとった図のことである。ヒストグラムを確認することで、たとえば「観客が5000人」入った試合が何試合あったのかを知ることができる。
観客数の平均値は2934.76人、SDは1080.41であった。以後、「観客数が多い試合」とは平均値に1SDを足した観客数4015.17人以上の観客が入った試合とする。
観客数の多い試合を各チームが何試合行っていたか・観客数の多い試合を戦うチームの勝率は高いか
4015人以上の観客が入った試合をデータセットから抽出した。結果として、267試合が抽出された。その結果を表1に示す。
表1から、平均勝率TOP5（栃木・千葉・A東京・川崎・三河）だけで、観客数の多い試合の55.8%を占めることが分かった。したがって、観客数の多い試合でホームコートアドバンテージが見られるというよりはむしろ、観客数の多い試合を戦うホームチームが強いため、ホームチームとアウェイチームで得点差が生じたのだと考えられる。
まとめ
分析の結果、観客数の多い試合に限って得点差が見られたのは、何らかのホームコートアドバンテージがあるというよりは、むしろ観客数の多い試合を戦うチームが強いことが原因として考えられることが分かった。
反省
観客数の多い試合に限ってホームコートアドバンテージが見られるという結果は、非常に直感的で、魅力的な結果でした。今後はこのようなミスを侵さないように、注意深くデータ分析に臨みたいと思います。間違った知見を広めてしまい、申し訳ありませんでした。
*1:bleaguerについてはこちらの記事を参照：B.LEAGUEデータ分析用Rパッケージ「bleaguer」を公開しました - データで観るBリーグ
