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チームのOffensive EfficiencyはBリーグの試合の勝ち試合数を予測するか?-2

morry0371.hatenablog.com

 ↑これの続編です。

 2016~2019シーズンのチームごとのOffensive Efficiency(以下、OE。Shea & Baker, 2013)を算出して、勝ち試合数との関係を回帰分析によって調べた。先に結論を言うと、勝ち試合数はチームOEが高いほど多いことが分かった。したがって、分析方法を変えても、チームのOffensive EfficiencyはBリーグの試合の勝敗を効果的に予測するか? - 読書・NBA・ポケモンと似た結果が得られた。

 

Offensive Efficiencyとはなにか?

チームのOffensive EfficiencyはBリーグの試合の勝敗を効果的に予測するか? - 読書・NBA・ポケモンより引用。

OEはShea & Baker で提案されたスタッツで「その選手が終わらせたポゼッションの内、得点またはアシストがついたポゼッションの割合」を意味する。数式を確認すると、Four Factorsとよく似た視点の分析であることがよく分かる。

 OEでは得点・アシストが付いたポゼッションを分子が表しており、分母はある選手(またはチーム)が終わらせたポゼッションを近似している。また、オフェンシブリバウンドは攻撃機会を増やす、つまりターンオーバーとは逆の指標であると考えられるので、TOとは逆にマイナスの符号で分母に投入されている。

 OEは基本的には0〜1の値を取り、大きいほうが攻撃の効率が良い。これは終わらせたポゼションに占める、得点に結びついた割合が多いと解釈できるからである。

分析

データセット

 Rのパッケージbleaguer*1からGetGameSummary()で呼び出されたデータを加工して作った。 2016-17シーズン、2017-18シーズン、2018-19シーズン別にチームごとの平均データを用いて、OEを算出した。さらにBリーグ公式HPから勝ち試合数を調べて、データセットに組み込んだ。したがって、54個(18チーム×3シーズン)のシーズン平均OE、勝ち試合数が分析対象となった。なお、分析にはレギュラーシーズンのデータのみを用いた。

シーズンごとのチーム別のOE・勝ち試合数

 表1にまとめた。

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チームOEと勝ち試合数の関係

 チームOEと勝ち試合数の関係を調べるために、単回帰分析を行った。OEと勝ち試合数の散布図を図1に示す。分析にあたって、係数の解釈を容易にするために、OEを標準化した(平均0、標準偏差1に変換した)。

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図1:OEで勝ち試合数を単回帰分析した結果

 回帰分析の結果、OEの回帰係数は有意であった(B=8.48, SE=1.13, t(51)=7.49, p<0.01) 。したがって、OEが1SD分大きくなると、勝ち試合数は8試合ほど多くなることが分かった。また、モデルの決定係数(R^2)は0.52で有意であった。

まとめ

 単回帰分析を行った結果、OEが高いほどチームの勝ち試合数は多くなることが分かった。したがって、分析方法を変えても、チームのOffensive EfficiencyはBリーグの試合の勝敗を効果的に予測するか? - 読書・NBA・ポケモンと似た結果が得られた。

 なお、前回の分析も含めて、OEはチームのディフェンスをまったく考慮していない。図1の回帰直線から大きく外れたデータは、ディフェンスが上手い(/下手な)ことによって説明できるかもしれない。

 

引用文献

Shea, S. M. & Baker, C.E., 2013. Basketball Analysis Objective and Efficient Strategies for Understanding How Teams Win.