読書・NBA・ポケモン

読書・ポケモン・NBA・統計学について書きます

【雑学】選手ごとのOffensive Efficiency――PPGとOEが高いのはどの選手か?

 バスケットボール選手の攻撃の上手さを評価する方法として、Offensive Efficiency(以下、OE。Shea & Baker, 2013)に注目する方法がある。OEとは、ある選手が終わらせたポゼッションのうち、得点・アシストがついたポゼッションの割合のことである*1*2。OEが高い選手は、ボールを持ったら、得点に結びつくプレーをすることが多いと解釈できるので、攻撃が上手い選手と言えるだろう。

 本記事の目的は、2018-2019シーズンのBリーグのデータを用いて、オフェンスの上手い選手、すなわち一試合あたり平均得点が高くかつOEの高い選手を発見することである。

データセット

 スクレイピングによって、B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイトから2018-2019シーズンのスタッツを取得した。1試合平均のオフェンスリバウンド数・ターンオーバー数・フィールドゴール試投数・フィールドゴール成功数がなかったので、算出してデータセットに組み込んだ。さらに、これらの変数からOEを算出してデータセットに組み込んだ。

 データ数がいたずらに増えるのを防ぐため、出場試合数が30試合を超える選手のみを分析の対象とした。結果として184名の選手が分析の対象となった。

記述統計量(1試合平均得点とOE)

 まず1試合平均得点(以下, PPG)の平均は7.56、SDは5.88であった。PPGのヒストグラムを図1に示す。

f:id:morry0371:20200102173338p:plain

 次にOEの平均は0.55、SDは0.10であった。OEのヒストグラムを図2に示す。

f:id:morry0371:20200102173403p:plain

1試合平均得点とOEの散布図

 PPGを縦軸、OEを横軸として、散布図を描いたのが図3である。これら2つの変数の相関係数は0.39であった。したがって、OEの高い選手は得点も高い傾向があることが分かった。

f:id:morry0371:20200102173428p:plain

 次に、どの選手がOEも得点も高いのかを調べるために、散布図の各データに名前を付したのが図4である。ただし、ラベルを付ける都合上、あまりにデータが密集していると読み取れなくなってしまうので、OEが0.6以上の選手のみをプロットしている。

f:id:morry0371:20200102174015p:plain

 アイザック・バッツのOEが1を超えているが、これは終わらせたポゼッションに比べて、オフェンスリバウンドを多くにとっている事によるものである(一試合あたり平均OR数=4.56 !!)。外国籍選手はPPGもOEも高い傾向にあるようだ。

 日本人選手の中では、馬場雄大・並里成・篠山竜青・竹内公輔あたりが目立つだろうか。馬場といえば私は速攻からの豪快なダンクというイメージがあるが、残念ながら、データセットの中には速攻からの得点やダンクでの得点が組み込まれていないことから検証できなかった。

 並里と篠山はそれぞれアシスト・ターンオーバー比(並里:3.60、篠山:3.49)が高いことが、OEの高さにつながったのではないだろうか。 アシスト・ターンオーバー比は、NBAでは3を超えると優秀なポイントガードと見なされると聞いたことがあるので、彼らはかなり優秀だ。これは参考だが、優秀なポイントガードといえば富樫勇樹(OE=0.56)がいるが、彼のアシスト・ターンオーバー比は3.08だから、並里・篠山の凄さが分かる。

 竹内公輔はおそらくフィールドゴール成功率(60.4%)が高いことが、OEの高さにつながったと考えられる。このFG%は、今回分析に使った184名中4番目にあたる。

感想

 スクレイピングと、dplyrというRのパッケージの練習に始めた分析だったが、楽しむことができた。Bリーグは実はあまりテレビで試合を見れていないので、今回のデータを元に観戦を楽しみたいと思った(馬場はもう日本にはいないけど)。

 今回の分析がみなさまのBリーグ観戦の肴になれば嬉しいです。ではでは。

 

引用文献

Shea, S. M. & Baker, C.E., 2013. Basketball Analysis Objective and Efficient Strategies for Understanding How Teams Win. 

*1:OEの式は次の通り:OE=(フィールドゴール成功数+アシスト数)/(フィールドゴール試投数+ターンオーバー数+アシスト数−オフェンシブリバウンド数)

*2:次に紹介する記事では、チームのOEが高いと、チームの勝率が上がることが見いだされている。チームのOffensive EfficiencyはBリーグの試合の勝敗を効果的に予測するか? - 読書・NBA・ポケモンチームのOffensive EfficiencyはBリーグの試合の勝ち試合数を予測するか?-2 - 読書・NBA・ポケモン